NPB全球場完全ガイド 2026
プロ野球(NPB)の試合が行われるスタジアムは、単なる競技施設ではない。それぞれの球場には長い歴史があり、地域の誇りが息づき、ファンと選手が共に作り上げてきた文化がある。開幕から引退の瞬間まで、幾多の名勝負が生まれた聖地。本稿では、現在NPBで使用されている主要12球場のすべてを徹底的に解説する。規模・特徴・特別シート・開業の歴史から、知る人ぞ知る珍エピソードまで、これ一冊でNPBの球場を完全網羅する。
01
開業2023年3月30日
所在地北海道北広島市 Fビレッジ
収容人数35,000人(最大42,000人)
建設費約600億円(周辺含む約1,000億円)
屋根開閉式・天然芝
2023年に開業した、日本最新かつ最先端のボールパーク型スタジアム。北海道北広島市に広大な「Fビレッジ」を形成し、その中核施設として機能する。日本初の開閉式屋根付き天然芝球場として注目を集め、屋根を開けると天然芝に自然光が降り注ぐ爽快な環境で試合が行われる。球場内にはホテル・温泉・グルメ店・子ども向け施設・サウナなど多彩な施設が集積しており、「野球を見なくても楽しめる」という新しいボールパーク文化を日本に根付かせた。
| 左翼 | 100m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 3.6m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
フィールドグランドシート
グラウンドフェンスギリギリに設置された超近距離シート。選手との距離は数メートルで、フィールドの土の匂いや選手の声が聞こえるほどの臨場感がある。
スカイデッキ(球場内温泉)
なんと湯船に浸かりながら試合を観戦できる「Tower Eleven Onsen & Sauna」。世界的にも例のない施設で、開業直後からSNSで世界中に拡散された。
バルコニーシート(ホテル直結)
球場に隣接するホテルの部屋のバルコニーから試合を観戦できる特別プラン。宿泊+観戦の一体型体験として国内外から注目を集める。
パーティスイート/グループシート
グループ向けの個室型・半個室型シートが充実。料理のケータリングサービスも利用可能。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
「温泉から試合観戦」が世界に拡散
開業初年度に公開されたスカイデッキ温泉の映像がX(旧Twitter)で世界中に拡散。「日本はどこまで進化するのか」といったコメントが殺到し、海外メディアも相次いで取り上げた。外国人観光客がエスコンフィールドを目当てに北海道を訪れるケースも増加している。
2
規定違反?フェンスの高さ問題
開業当初、フェンスの高さがNPBの規定(96.52cm以上)に違反しているという指摘があり一時的に問題となった。最終的にはフェンスの改修や規則の解釈で解決されたが、球場側の「規定との戦い」は設計段階から続いていたとも言われる。
3
コンビニ内蔵スタジアム
球場内にセブン-イレブンが出店しており、試合観戦中でも普通にコンビニショッピングができる。「野球見ながらコンビニ行ってくる」という感覚は従来のスタジアムでは考えられない体験だ。
EVENTS
主なイベント
Fビレッジ各種イベントファイターズフェスティバル開閉式屋根オープンセレモニー
02
開業1950年(宮城球場として)
所在地宮城県仙台市宮城野区
収容人数約30,508人
屋根屋外・天然芝
東北楽天ゴールデンイーグルスのホームとして知られるが、その歴史は古く1950年に「宮城球場」として開業した。2004年に楽天がプロ野球に参入したことで大規模改修が行われ現在の姿になった。2011年の東日本大震災では球場が大きく被災したが、復旧後は「東北に元気を届ける」場所として選手・ファンが一体となり、2013年の日本一達成で感動のドラマを生んだ。
| 左翼 | 100.1m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100.1m |
| フェンス高 | 3.2m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
ゴールデンシート(バックネット裏)
専用入口・専用ラウンジ・フードサービスが付属する最上級プレミアムシート。ビジネス利用にも人気が高く、シーズンシートとして販売されることが多い。
芝生席(外野)
レジャーシートを広げてピクニック感覚で観戦できる人気エリア。子ども連れのファミリーに特に好評。
スカイボックス
球場上層に設けられたガラス張りのVIPルーム。プライバシーを確保しながら快適に観戦でき、法人向けに人気が高い。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
マー君の伝説と「24勝0敗」
2013年のシーズン最終戦、田中将大投手は当時プロ野球記録となる24勝0敗1セーブという驚異的な成績でシーズンを終えた。日本シリーズ最終戦では先発から中継ぎへと回り、球団初の日本一を決めた瞬間は今でも語り継がれる伝説だ。
2
七夕の願い事ボード
毎年7月前後に開催される「七夕祭り」期間中、球場内に巨大な七夕飾りが飾られ、ファンが短冊に願い事を書いて飾る企画が行われる。「優勝してください」「マー君が帰ってきますように」など、野球への願い事が短冊を埋め尽くす光景は微笑ましい。
3
東日本大震災と「東北のため」
2011年の震災後、楽天の選手たちは被災地を巡回し支援活動に参加した。「東北のため」を合言葉に団結し、翌年以降の快進撃へとつながった。この球場はその歴史の証人であり、東北の復興のシンボルでもある。
EVENTS
主なイベント
イーグルスフェスタ(感謝祭)七夕まつりコラボ東北絆まつり連動企画
03
開業1926年10月26日
所在地東京都新宿区霞ヶ丘町
収容人数約30,969人
屋根屋外・天然芝
1926年開業という、NPB使用球場の中で最も古い歴史を誇る球場のひとつ。明治神宮外苑に隣接する立地から、日本のスポーツ史において特別な位置づけにある。都心に位置しながら約3万人を収容する稀有な立地で、外苑の木々に囲まれた独特の雰囲気がある。特に秋のシーズン終盤、銀杏並木が色づく時期の試合は「野球と紅葉のコラボ」として風情があると評判だ。
| 左翼 | 97.5m |
| 中堅 | 120m |
| 右翼 | 97.5m |
| フェンス高 | 3.3m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
つば九郎BOX(ファミリーシート)
子ども連れのファミリー向けに設計されたシート。つば九郎グッズの特典や子ども向けイベントへの優先参加権が付属する。
バックネット裏・SS指定席
重要試合でも随一の視野を誇るプレミアムエリア。長年のシーズンシートホルダーが多く、独特のコミュニティが形成されている。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
つば九郎の「言いたい放題ボード」
ヤクルトのマスコット「つば九郎」は、日本プロ野球界で最も個性的なマスコットとして知られる。試合中に手書きのホワイトボードを持って登場し、選手への毒舌コメントや世相を反映したメッセージで場内を沸かせる。審判や他球団選手へのツッコミも容赦なく、プロ野球界随一の問題児(愛称)として親しまれる。
2
外苑再開発問題と球場の行方
近年、明治神宮外苑の再開発計画が持ち上がり、神宮球場の建て替えや移転が議論の的となった。歴史的・文化的価値のある球場の保存を求める声や、老朽化による建て替えの必要性など様々な意見が交錯し、「神宮の未来」をめぐる動向は野球ファン以外からも注目されている。
3
ヤクルト黄金時代の舞台
1990年代、古田敦也・池山隆寛・岡林洋一らを擁したヤクルト黄金期の舞台がここ神宮球場だった。「神宮が聖地になった瞬間」を現地で目撃したファンが今も多く、往年の名勝負を語り継ぐ声が絶えない。
EVENTS
主なイベント
スワローズ大感謝祭神宮花火大会(試合重複演出)東京六大学野球
04
開業1988年3月18日
所在地東京都文京区後楽
収容人数43,500人
建設費約350億円
屋根エアドーム・人工芝
1988年に開業した日本初の全天候型ドーム球場。「ビッグエッグ」の愛称で親しまれ、読売ジャイアンツの聖地として長年プロ野球の中心を担ってきた。屋根は空気圧で支えるエアドーム構造で、球場内の気圧を外気より若干高く保つことで屋根を浮かせている。東京ドームシティという複合施設の中核として、遊園地・ホテル・商業施設と一体的に運営されている。
| 左翼 | 100m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 4.93m |
| 芝 | 人工芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
プレミアムラウンジ(スカイボックス)
最上層に設けられたVIPルーム群。防音ガラス越しに試合を観戦しながら専用フードサービスを楽しめる。東京ビジネス界の社交場としての一面もある。
カップルシート・プレミアシート
バックネット裏周辺に設けられた2人掛けの特別席。プライベート感があり、デートやプロポーズの場としても使われることがある。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
「耳がツン」とする球場
エアドーム構造のため、入場時に気圧の高いゾーンに入る感覚がある。入口のドアが重く感じられ、敏感な人は耳の違和感を覚える。これは飛行機の離陸時に似た現象で、東京ドームの「名物体験」のひとつとなっている。
2
MLB開幕戦の舞台&イチロー引退
1997年から複数回にわたりMLB開幕戦が開催された。2019年のアスレチックス対マリナーズ戦ではイチロー選手が最後の公式戦をここで戦い、引退を発表した歴史的な瞬間の舞台となった。
3
天井に当たった打球はインプレー
フェア地区最頂部約55.8mの天井に打球が当たることがある。NPBには「東京ドームの天井に当たった打球はフェア・ファウルを問わずインプレー」という特別規則が設けられており、選手も観客も一瞬戸惑う珍プレーが生まれることがある。
EVENTS
主なイベント
読売ジャイアンツ感謝の集い東京ドームシティ連動イベントMLBオープニングシリーズ(過去開催)
05
開業1979年4月12日(ドーム化1999年)
所在地埼玉県所沢市上山口
収容人数33,921人
屋根半屋外型ドーム・人工芝
西武グループが手がける西武ライオンズのホーム。最大の特徴は「半屋外型ドーム」という独特の設計で、外周に当たる部分の壁がなく外気が自由に出入りする。そのため夏は熱く冬は寒く、強風の日は打球が風に流されることもある。1980〜90年代の西武黄金期(辻・清原・秋山・デストラーデ)の聖地として、日本野球史に刻まれている。
| 左翼 | 100m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 3.0m |
| 芝 | 人工芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
バックネット裏 SS指定席
試合の全体像を最もバランスよく把握できる最上級エリア。長年のライオンズファンに人気のシート。
外野芝生席
ベルーナドーム名物。外野にレジャーシートを敷いてゆったり観戦できる。夏の試合では半袖・サンダルで来場するファンも多い。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
ドームなのに雨が降る
半屋外型ドームのため、外周の壁がない部分から雨が吹き込むことがある。強い風雨の日には外野フェンス付近が実際に濡れることがあり、「ドームなのに雨?」という体験が珍しくない。グラウンドへの影響は少ないため試合は行われるが、外野席のファンが雨に濡れながら応援するという光景が見られる。
2
真夏の「蒸し風呂ドーム」
夏の猛暑時期、壁がないため外気がそのまま入り込み、熱気と湿気がこもりやすい。観客が「サウナのよう」と表現することもあり、タオルと飲み物は必携。毎年熱中症対策の注意喚起が行われる。
3
清原・デストラーデ時代の「黄金伝説」
1980〜90年代、清原和博がここで放ったホームランの数は伝説的。外国人スラッガー・デストラーデとのクリーンナップが相手チームに恐れられた。この球場を知るOBファンにとって、ベルーナドームは「黄金時代の記憶」そのものだ。
EVENTS
主なイベント
ライオンズフェスティバルズ(感謝デー)西武ライオンズOB戦
06
開業1990年4月21日
所在地千葉市美浜区美浜
収容人数30,118人
屋根屋外・天然芝
千葉市の幕張・海浜公園エリアに位置するオープン型の大型球場。「風の球場」として有名で、東京湾から吹き込む海風が試合に大きな影響を与えることで知られる。ZOZOテクノロジーズ(現ZOZO)が命名権を取得し2017年から現名称に。地元ファンには今でも「マリスタ」と呼ばれることが多い。ロッテファンの熱狂的応援団はNPB随一と称される。
| 左翼 | 99.5m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 99.5m |
| フェンス高 | 3.0m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
スカイBOXスイート
上層階に位置するプレミアムシートで、専用ラウンジとフードサービスが付属する。法人向けシーズン利用が多い。
海浜公園広場エリア
球場周囲の海浜公園に試合前後に飲食屋台が出店し、球場の外でもお祭り気分が楽しめる。夏は花火大会との連動も。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
「風速××mの打球はどこへ行く?」
ZOZOマリンの海風は選手たちにとっても悩みの種。風速10mを超える日は打球の軌道が大きく変わり、通常ならアウトの外野フライがホームランになったり、本塁打性の打球がフェンス手前でキャッチされることもある。ロッテの選手たちは「マリスタ対策」として専用の打撃練習をするほどで、「風と戦う野球」が千葉流と言われる。
2
花火との共演
球場に隣接する海浜公園での花火大会が試合日と重なった日は、バックスクリーン越しに花火が打ち上がる幻想的な光景が見られる。選手も観客も一瞬試合を忘れて空を見上げることがあるとか。
3
ロッテファンの「ぶち上げ」コール
ロッテファンはNPB随一の熱狂的応援団で知られる。レフトスタンドから起こる鳴り物・コール・手拍子は試合を通じて途切れることがない。2005年の日本一時には球場がほぼ揺れているかのような応援だったと伝えられる。
EVENTS
主なイベント
MARINES感謝デー海浜公園花火大会連動
07
開業1978年4月2日
所在地神奈川県横浜市中区横浜公園内
収容人数35,000人(改修後)
屋根屋外・天然芝
横浜公園の中に位置する都市型球場。JR・横浜市営地下鉄関内駅から徒歩数分という抜群のアクセスで、中華街・山下公園・元町といった横浜観光スポットとも近く「試合前後に横浜観光を楽しめる球場」として人気が高い。2016〜2019年の大規模増築改修でバックスクリーン側に「ウィング席」が増設され、収容人数が約1万人増加した。
| 左翼 | 94.2m |
| 中堅 | 117.7m |
| 右翼 | 94.2m |
| フェンス高 | 4.8m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
ウィング席
増改築時に新設された斜め後方からグラウンドを見渡せる独特の席。価格がリーズナブルながら雰囲気が良く、ユニークな視点で試合を楽しめる。
DREAM GATE TERRACE
コーナー付近に設けられたテラス型の観戦エリア。立ち飲み感覚でドリンクを楽しみながら観戦できるおしゃれな空間。
BOXシート(上段)
4〜6名用の仕切られた空間で少しプライベートな観戦が楽しめる。横浜カップル観戦の定番スポットとしても知られる。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
「ハマスタの奇跡」2017年CS
2017年のCSファーストステージ、DeNAは3位から勝ち上がってジャイアンツをホームで撃破した。この試合の熱気は「ハマスタが揺れた」と表現されるほどで、SNSには感動の声が溢れた。以降もハマスタは「番狂わせが起きる球場」として語り継がれている。
2
ラミレス監督の「ハマスタ愛」
アレックス・ラミレス監督(2016〜2019年)は現役時代から横浜スタジアムが大好きなことで有名だった。「ここは特別な球場だ」と繰り返し語り、2017年の日本シリーズ進出を達成。ハマスタのファンに大きな感動を与えた。
3
中華街マスコットとのコラボ
横浜中華街商店街とのタイアップ企画で、試合後に中華街の有名店で割引が受けられるキャンペーンや中華料理の球場グルメ出店など、「横浜らしさ」を前面に出したユニークな企画が定期的に行われている。
EVENTS
主なイベント
ありがとう横浜スタジアム(感謝デー)横浜中華街連携イベント
08
開業1924年8月1日
所在地兵庫県西宮市甲子園町
収容人数47,508人(2024年改修後)
建設費当時約100万円(1924年)
屋根屋外・天然芝
1924年開業の「野球の聖地」。全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)・選抜高等学校野球大会(春の甲子園)の会場として全国的に有名で、プロ野球だけでなく高校野球の「夢の舞台」でもある。外壁を覆う100年の歴史が積み重なったツタは圧倒的な風格を醸し出しており、2023〜2024年の大規模改修でも大切に守られた。NPB最大級の収容人数を誇る。
| 左翼 | 95m |
| 中堅 | 118m |
| 右翼 | 95m |
| フェンス高 | 2.44m |
| 芝 | 天然芝・黒土内野 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
銀傘(ぎんかさ)席
内野スタンドを覆う大きな庇「銀傘」の下の座席。雨や日差しを遮ってくれるため夏の観戦に最適。甲子園球場の象徴的な構造物のひとつ。
アルプス席
一塁側・三塁側に位置し、高校野球では学校応援席として知られる。プロ野球でも最も熱狂的なファンが陣取るエリア。価格が比較的安く若いファンにも人気。
甲子園歴史館
球場併設の博物館。高校野球・プロ野球の歴史を詳細に展示し、試合日以外も来場できる人気施設。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
「土を持ち帰る」文化
高校野球で敗退したナインが甲子園の土を袋に入れて持ち帰る光景は日本の夏の風物詩。1949年の第31回選手権大会が始まりとされる。GHQ占領下に一時禁止されたが復活した。プロ選手が引退時に同様のことをしたケースもある。
2
外壁のツタはいつ植えられた?
甲子園のシンボルであるツタは開業と同時ではなく、1930年代に阪神電鉄社員の有志が植えたのが始まりとされる。改修工事の際には一時的に撤去し、工事後に再び植え戻すという作業が行われた。このツタを守ることへの情熱は球場スタッフの大切な仕事だ。
3
1985年「バックスクリーン三連発」
1985年4月17日対巨人戦、ランディ・バース・掛布雅之・岡田彰布による「バックスクリーン三連発」は甲子園の歴史に永遠に刻まれた一打となり、阪神は同年念願の日本一を達成した。この瞬間を現地で目撃した観客たちは今でも誇りを持って語り継いでいる。
EVENTS
主なイベント
甲子園感謝デー阪神タイガースOB戦全国高校野球選手権大会(夏・春)
09
開業1997年2月7日
所在地大阪市西区千代崎
収容人数36,477人
建設費約700億円
屋根ドーム・人工芝
大阪・ドーム前千代崎駅直結の好立地に構えるドーム球場。オリックス・バファローズのホームとして知られ、地元では「大阪ドーム」と呼ばれることが多い。7層構造の外周廊下に飲食店・土産店が並ぶ「球場内商店街」のような雰囲気があり、大阪らしいB級グルメ(たこ焼き・串カツ等)の充実度はNPB屈指と言われる。
| 左翼 | 100m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 4.5m |
| 芝 | 人工芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
スカイBOX(最上階VIPルーム)
7層構造の最上部に設けられたVIPルーム。フロアからガラス越しに球場全体を見渡せる。法人向け貸切プランが人気。
コンコースの大阪グルメエリア
外周廊下のたこ焼き・串カツ・お好み焼きなど大阪B級グルメの充実度はNPB屈指。試合そっちのけでグルメ巡りをするファンも多い。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
屋上観覧車の謎
2006年にドームの屋上に観覧車「えびすタワー135」が設置された。球場の屋上に観覧車があるという世界的にも珍しい施設として注目を集めたが、2009年に営業終了。「野球見に来て観覧車にも乗れる」という夢の施設は短命に終わった。
2
近鉄合併の舞台
かつて近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併問題が議論された2004年当時のホームでもある。近鉄球団消滅・オリックスとの合併という球界再編の激動の時代、このドームで行われた試合には特別な感慨があった。
EVENTS
主なイベント
バファローズ感謝デーコンサート・プロレス各種興行
10
開業2009年4月10日
所在地広島市南区南蟹屋
収容人数33,000人
建設費約90億円
屋根屋外・天然芝
2009年に旧広島市民球場の後継として建設された広島東洋カープのホーム。JR広島駅から徒歩約10分という好立地で、「マツダスタジアム」「マツスタ」の愛称で広島市民に愛されている。日本の球場の中でも特に多彩な観戦エリアが充実しており、「寝ソベリア」「砂かぶり席」など他球場にない個性的シートが揃う。「カープ女子ブーム」の火付け役となった球場でもある。
| 左翼 | 101m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 3.5m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
寝ソベリア(レフト外野)
ソファやマットレスが置かれ、本当に横になりながら試合を観戦できるエリア。日本で最初にこのスタイルを導入した球場として注目された。カップルやグループに大人気。
砂かぶり席
フィールドレベルの最前列席。選手のダイビングキャッチが間近に見えるほどの超近距離観戦が可能。実際に砂埃がかかることも。
内野パーティBOX
個室型観戦ボックス。グループで食事をしながら試合を観戦できる空間で、企業の接待・歓送迎会にも活用される。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
カープ女子ブーム
2010年代中頃から「カープ女子」と呼ばれる女性ファンの急増が社会現象になった。赤いユニフォームがおしゃれで映えると若い女性に人気が出て、グッズ売り上げが急増。2016〜18年の三連覇にも拍車をかけ、「カープ女子」は新語・流行語大賞にもノミネートされた。
2
旧市民球場との別れ
2008年シーズン限りで現役を退いた旧広島市民球場は、爆心地に近い場所にあった歴史的な球場だった。2012年に解体されたが、「あの場所でカープを見た思い出」を持つ広島市民にとって旧球場への郷愁は今でも尽きない。
3
鈴木誠也「マツスタの子」
鈴木誠也はマツスタで大成した代表的な選手。2022年のメジャーリーグへの移籍発表時、広島ファンのみならず全国のカープファンがこの球場での彼の活躍を振り返った。現在も若手育成の場として数多くのカープの才能を世に送り出し続けている。
EVENTS
主なイベント
カープサンクスデー(感謝デー)広島カープOB戦原爆ドーム追悼関連企画
11
開業1993年4月2日
所在地福岡市中央区地行浜
収容人数38,000人
建設費約760億円
屋根開閉式ドーム・天然芝
福岡市の百道浜地区に位置する西日本最大級のドーム球場。開閉式屋根を備えた「セミオープン型ドーム」で、天気の良い日は屋根を開けて天然芝に自然光を採り込む。福岡ソフトバンクホークスは観客動員でもNPB屈指の球団で、球場周辺の複合商業施設(マークイズ福岡ももち)と一体化した「野球×街」の開発モデルとして全国的に評価が高い。命名権の変遷も話題で、「ヤフードーム」「PayPayドーム」などの歴代名称で親しまれてきた。
| 左翼 | 100m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 4.92m |
| 芝 | 天然芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
ホームランテラス
2016年に外野に増設された新シート。フィールドに向かって張り出した構造のためホームランボールが飛んでくることもあり、持ち帰ったファンの話題が毎年絶えない。
フィールドシート(ベンチレベル)
選手ベンチと同じ高さから試合を観戦。監督・コーチの指示出しを間近に感じられる超臨場感シート。
スイートルーム(法人向け)
フルキッチン・専用スタッフ付きのVIPスイートルーム。福岡を拠点とする大企業の重要クライアントとの接待によく利用される。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
開閉式屋根の「ドラマチックオープン」
重要な試合の開始前に屋根が開く演出は観客に大きな感動を与える。開幕戦や日本シリーズなどでは選手入場と同時に屋根が開き始める演出が定番となっており、球場全体が歓声に包まれる。屋根が完全に開くまで約20分かかるため、試合前セレモニーの一部として組み込まれることが多い。
2
工藤監督時代の4連覇(2017〜2020年)
工藤公康監督(2015〜2021年)の時代に日本シリーズ4連覇を達成。球場には当時の記念パネルや展示が多く、「ホークス黄金時代」の記録は今も語り継がれている。
3
王貞治とホークスの「聖地」
王貞治氏がソフトバンクの球団会長・名誉監督として長年関わってきた。球場内には「世界のホームラン王」としての偉大な足跡が紹介されており、試合日には特別なセレモニーで王会長が登場することもある。
EVENTS
主なイベント
ホークスフェスタ(感謝デー)ウォームハートフェスタ(冬季)屋根オープンセレモニー(開幕戦)
12
開業1997年2月28日
所在地愛知県名古屋市東区大幸南
収容人数40,500人(NPB最大規模)
建設費約500億円
屋根ドーム・人工芝
1997年開業、名古屋の中日ドラゴンズのホーム。NPB最大規模の収容人数を誇り、開場当時は世界最大の室内球場とされた。外野フェンス高5.37mというNPB最高フェンスのため「打者にとって不利な球場」として知られ、中日は投手中心の守りのチームカラーが形成されてきた。地元では「ナゴヤドーム」の愛称で親しまれており、2021年から「バンテリンドーム ナゴヤ」に改称した。
| 左翼 | 100m |
| 中堅 | 122m |
| 右翼 | 100m |
| フェンス高 | 5.37m ★NPB最高 |
| 芝 | 人工芝 |
SPECIAL SEATS
特別シート・観戦エリア
プレミアムシート(バックネット裏)
最上級指定席。専用のサービスラウンジ・フードメニューが付属し、ビジネス利用にも人気。
テーブルシート(内野上段)
テーブル付きのシートで食べ物・飲み物を置きながらゆったり観戦できる。友人グループや家族連れの利用が多い。
スカイラウンジ(最上層)
ドーム最上部から全体を俯瞰できるラウンジ。「ミニチュアみたいに選手が見える」という独特の視点も魅力のひとつ。
RARE EPISODES
珍エピソード
1
ドアラの「バク転」伝説
中日のマスコット「ドアラ」はNPBマスコット界でもっとも熱狂的なファンを持つキャラクター。バク転・側転などアクロバット技を披露し、試合そっちのけで踊り続けたり選手へのリアクションがいちいち面白いとSNSで話題になり続けている。2009年には「ドアラの哲学」という本まで出版された。
2
「高いフェンスとホームラン論争」
外野フェンスはNPB最高の5.37mで、他球場なら本塁打になる打球がフェンスに当たって二塁打・三塁打になるケースが頻発する。「ナゴドの謎」は野球ファンの話題の種だ。
3
落合監督時代の「守り勝つ野球」
落合博満監督時代(2004〜2011年)、投手陣を中心とした堅守で常にリーグ上位を占めた。「守り勝つ野球」と「バンテリンドームの低打率傾向」が絶妙にマッチし、監督・球場・チームの三位一体が機能したと多くの解説者が指摘している。
EVENTS
主なイベント
ドラゴンズ感謝デー秋季感謝DAYコンサート・格闘技興行
— CONCLUSION —
NPB球場が紡ぐ「野球という文化」
本稿で取り上げた12球場は、それぞれの歴史・地域性・チームカラーを色濃く反映した唯一無二の空間だ。甲子園の100年の歴史が宿るツタ、エスコンフィールドの温泉観戦、マツダスタジアムの「寝ソベリア」、そして東京ドームの「耳がツン」現象——どの球場もただ試合が行われる「箱」ではなく、記憶と物語が積み重なる文化的場所となっている。
野球を「見に行く」という体験は、単に試合の結果を知ることとはまるで異なる。球場の熱気・食べ物の香り・応援歌の響き・仲間との笑い声——これらが合わさって初めて完成する体験は、どんなスクリーンや配信サービスでも再現できない。
2026年シーズンは3月27日(金)にセ・パ同時開幕!
開幕まであとわずか——チケットを手に、ぜひ本記事で紹介した球場のどこかへ足を運んでみてほしい。生の歓声・芝の匂い・場内グルメ……それはスクリーン越しには決して味わえない、球場でしか体験できない特別な時間があなたを待っている。
― Play Ball! ―